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沖縄コンビニの常套句「おにぎり温めますか?」

コンビニのレジで「おにぎり温めますか」と聞かれたとしよう。「えっ、なんで温めるの」と驚くのが内地出身者。「じゃあ、梅オカカだけお願いします」と、なんの違和感もなくいえるのが沖縄の人である。おにぎりをレンジでチンするかどうかは、沖縄のコンビニでは当たり前のように聞かれる。具が納豆やイクラ、梅干しなど、内地の感覚だと「どう考えたって、温めないよなあ」というものでもだ。しかし、生まれも育ちも沖縄の私などは、逆に「どうして内地では温めないのだろう」と不思議ですらあるし、あらためて「なぜ」と問われると、困惑してしまう。それほどポピュラーな行為だ。理由のひとつに、沖縄のおにぎりが内地のものとはひと味違うことが挙げられる。陳列棚を眺めてみよう。豚肉と味噌を炒めた「油味噌」入り。挽き肉、チーズ、レタスなどタコスの具とご飯を海苔巻きにした「タコス巻き」もハズせない。県産塩で握っただけの「塩おにぎり」という大胆かつ斬新なものもある。油系の具材が入ったおにぎりは、冷たいままだと油やチーズが固まった状態で食べることになってしまうので、温めたほうがいいのだろう。そんな変わりおにぎりの総本山が「ポーク玉子おにぎり」(通称・オニポー)だ。三角のおにぎりに並んで、カードのはみ出した二つ折り財布のような、四角く黒い物体を見たことはないだろうか。それがオニポーだ。ポーク卵は、缶詰食品ポークランチョンミートのスライスと卵を焼き、それにライスがつく大衆食堂系の定食である。そのポーク玉子をおにぎりにしたという、名前そのまんまな商品だ。おにぎりにしてはやや高めの180〜220円で売られているが、どのコンビニでも人気は上位だという。最近はどこでも見かけるオニポーだが、その発祥はまだ解明されていない。コンビニ各社がオニポーの販売を始めた2〜5年前(1997〜2000年)には、すでに市場に出まわっていたという。ある知人は、オニポー発祥の地はコザ(沖縄市)だと主張している。コザといえば、戦後は米兵相手の飲食店でにぎわい、現在も異国情緒を残す基地の街だ。あのボリュームが米兵に人気だったんだなあ……と思わず納得させられてしまったが、どうやらそうではないらしい。売られていたのは、コザ高校の校内売店だったという。この知人(1989年当時にコザ高在学)によると、おにぎりとポークがひとつのビニール袋に入れられて売られていたのを「オニポー」と呼んでいたそうだ。袋の外からギュウギュウと押し握り、ひとかたまりにして食べる豪傑もいたという。そこにポークの盟友、卵焼きが加わり、一緒に握られるようになったのではないか。ところが、県内大手スーパーのオニポー担当者は、別の説を唱える。「10年ほど前に、ハワイのスーパーで見ました。沖縄からの移住者が初めて作り、それが広まったと聞いています」。これは「スパムおにぎり」と呼ばれていたそうだ。「スパム」とは、アメリカ製ポークランチョンミートの名称だ。話がワールドワイドすぎて調べようがないが、移民が多い土地なのでありえなくもない。ほかにも、「最初に作ったのはウチよ」という話はいくつも私の耳に入ってきた。聞いた話を全部ホントだと仮定して、推測してみよう。世界各地にいるウチナーンチュが、ある日ふと「ポーク玉子をもっと手軽に食べたい」と考えた。そしてあちこちで、同時発生的にオニポーを作り始めたのではないか。だとすると、おサルのイモ洗いもびっくりな現象だ。沖縄旅行のときは沖縄ならではの事に驚かされることもあると思うが、びっくりしないようにしてもらいたい。

続発するレジオネラ菌の集団感染事故

被害を生み、肺炎を発症させるレジオネラ菌とはいったい何ものか、医師の立場から少しだけ説明を加えておきたい。レジオネラ菌は、長さ約二〜一〇ミクロン(一ミクロンは一〇〇万分の一メートル)で、幅が約〇・三〜〇・九ミクロンの棒状の細長い菌で、医学用語では宗菌と呼んでいる。七〇度以上の高温では一分以内に死滅するが、ちょうど温泉の温度範囲である二五度から四二度の間で増殖するという特徴をもっている。ただし、増殖するのは、pH(ペーハーまたはピーエイチ=水素イオン指数)が六・八〜六・九の間(中性)である。潜伏期間は約二日から一〇日間。レジオネラ菌による感染症が注目されるようになったのは、一九七六年夏、アメリカでのこと。フィラデルフィアのホテルで在郷軍人会が開催されたとき、参加者のうち二二一名が原因不明の急性肺炎に感染し、うち二九人が死亡する事件が起こったのだ。これをきっかけに、レジオネラ菌の恐ろしさが広く知られるようになった。この菌は、二四時間風呂や温泉、循環式風呂、公衆浴場、サウナ、プール、エアコンの水冷冷却塔、加湿器、給湯設備、人工の滝、噴水などに棲息している。自然界でも、土壌や河川、湖沼、池などのアメーバに寄生しており、日常的に多くの場所で存在している。このレジオネラ菌、健康な人はほとんど感染しない。感染するのは、高齢者や乳幼児、病気などで免疫機能が弱っている人である。また、男性の常習喫煙者や酒飲みなどにも多く、男性の罹患率は女性の約三倍もある。とはいえ、衛生管理さえきちんとしていれば、そうした被害はかなり防げるはずである。にもかかわらず、循環方式を採用している温泉施設でとりわけ、レジオネラ菌による集団感染症が頻繁に発生するのは、施設の管理ミスによる人災だといっても過言ではない。私は用心のため、循環湯をジャグジーや打たせ湯に使用している温泉には、絶対に近寄らないことにしている。とくに体調を崩しているときには、レジオネラ菌で汚染されたお湯の飛沫を吸い込み、肺炎を起こしかねないからだ。ちなみに、レジオネラ菌感染は、循環式浴槽でのみ起こっているわけではない。外の源泉からお湯を引いている施設でも発生している。要は、現場を預かる温泉管理者の衛生管理が重要なのである。だからこそ、本当に信頼のおける温泉地を訪れてもらいたい。夕日ヶ浦温泉は、信頼のおける温泉として推薦したい温泉だ。

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